原発とは何か(2)2021/05/05 07:42


では一年1ミリシーベルトはどうか。

それを超えてはいけない。なぜなら国によって状況が違うから。

     地域によって自然放射線が高い所とか、国によって医療放射線が
     高い所(日本)、などがある。また、かつて行われたビキニ環礁での
     原爆実験による微量の粉塵が今も来ている。


様々な状況により、国によって基礎被爆が異なる。

     足し算だから、余裕を持たせる。原発も足して、全体を5ミリシーベルト
     に抑えようとしている。このように複雑だから、どこかの国がいいから、
     他の国でもいい、というものではない。


1年1ミリシーベルトになった理由は、貿易。

     仏から水やワインを輸入する、とか、日本から魚や果物を輸出する、
     という時に、国ごとに異なっていると大変だから、国際的流通は1年
     1ミリシーベルト以下に決めた。


世界で一年1ミリシーベルトにしたら日本人はどうなっているか。

     重篤な疾患つまり奇形児が生まれる等、重度の癌、重度の回復でき
     ない疾患が生じる率は1年に6千人以下になっている。

     つまり、交通事故並みになっている。


トリチウムを薄めて出す、ということはどういうことか。

     魚はそれを食べて体内で濃縮される。

     従って、個別に薄めてどうか、ではなく、出していけないものは出さな
     い。


福島原発の状況はどうか。T氏の見解は:
 1.水素爆発で破壊したか、これは無い
 2.メルトダウンで底が抜けたか、これは無い
 3.地震で亀裂が入った、この場合耐震設計の誤り→全原子炉停止

研究や報告は多いが、合同での研究会がないのでわからない。
再開に当たって大規模な改修が必要になり発電費用が上がるので、隠しているのではないか。

手抜き工事の可能性も無い訳ではないが、検査が厳しいからその可能性は低い。耐震性が不足していた可能性が高いと思う、とT氏。

     日本と台湾以外は、耐震性震度5までしか作っていないそうだ。
     一般住宅よりも原発の耐震性基準が甘いそうだ。驚き。
        なぜか。配管が出来ないと言う。
     震度6まで耐震性があると言っているが実際は5.5くらいではないか。

     なぜそういうことを国民に知らせないのか。


原発は永久に安全にならない理由(問題点):

■当初から反対が多くて、「もういい、これで行こう」となり説得の努力を続け
  なかった。

■反対派は反対が目的で、議論に参加しない。
 (反対意見を聞くために反対派の集会に行ったが、入れてくれなかった)

■原子力の専門家は安全について素人なのに、錯覚して自分で決める。
 (1980年位まで東大に原子力の安全の専門家がいたが、うるさがられて
  飛ばされた)
 ――そう言えば2年位前、竹島が奪われた史実を書いた若手外務官僚が
    飛ばされた。

■一度原発推進を始めると、途中で不都合が出ても止められない。
 (仏は高速増殖炉の開発を止めたが、日本は止められず、自殺者が2名出た)

■見識ある専門家、利権の専門家、素人が混じっている。
 (比率から言えば、1:100:100くらい。
  TVでは芸人が専門家のように原子力を語っている)


1年1ミリシーベルトということで、5ミリSvを超えると裁判で労災が適用されていた。が、原発事故以来、1年1ミリSvを自分以外誰も言わなくなった。言うとお金が来なくなる。


原子力は難しい。

・トリチウム、堤防、津波等々は、問題の本質を逸らすもの。
・「誠実な研究者と、誠実な報道局。この二つがないといけない」とT氏。


「トリチウムを薄めて海に出せば、基準値を超える。それを許容するかどうか。
世界の規則を破ることになるから、輸出ができなくなる。その点で韓国が言っていることは正しい。仏や韓国は1年1ミリシーベルトを守っているから、輸入して問題ない。米国の牛肉もOK」


仏は医療被曝が日本の5分の1くらいで数値に余裕がある。


仏の原発はロアール川に沿って22基ある。その下流にブドウ畑がありワインを作っている。1年1ミリシーベルトを守っているから。大事なのは約束を守ること。そして電気関係は錆びやすいから淡水の方がいい。


日本の原発は海岸沿いにある。なぜか。約束を守るつもりがない。海岸は錆びやすくて危険なのに、元々数値を守る気がなくて、海に流せばいいという気でいたのではないか。


日本の原発を琵琶湖の周囲に設置するようになったら、その時は信頼できる。琵琶湖を汚さないようにやるから、とT氏。


今のところ、トリチウムを分離できればトリチウムだけ海に出すか、それとも経費上安いと思われる方法、保管して弱毒性になるのを12年待ってから放出するか、だと言う。


――確かに難しい問題だ。エネルギーは生活に必須なもの。

そして確かに、タンクのスペースが無いとか、津波がどうとか、堤防をもっと高くする(堤防は入り口が開いていて、その脇の海岸には堤防はないから、津波は前からも脇からも入ってくる)とか、海岸に不適なものを海岸にばかり設置しているのはおかしい。


問題点を逸らすのはやめて、誠意をもって状況を国民に伝えるべき。


この間、福島原発の代わりに新しいのを作れと言うお達しが米国から来たようだ。そうしたら政府は、スペースがないからトリチウム水を海に捨てると言い出した。


周囲の土地も使われていないから、スペースは十分ある。これまでのことから考えると、タンクを作って12年待ってから順に放出する方がいいように思える。


今度の原発新設工事はどんなものを作るのか、注視しよう。

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