逆転写が何を意味するか ― 2022/07/28 23:00
何人かの説明を聴いたが、複雑で難しいものが多かった。
その中で、M氏が簡単にわかりやすく説明していたのは、次のようなも
のだ。
私たちは遺伝情報をDNAとして細胞の中に格納している。そのDNA設計図に基づいてタンパクを作っていく。
設計図のDNAはとても大きくて、タンパクを作る工場へ持って来れないの
で、写し(コピー)をとり、手順書(RNA)とする。この手順書を持って
行ってタンパクを作っている。
この「DNA → RNA → タンパク」の流れを「転写」と言う。
(設計図)→(手順書)→(タンパク質)
これが1960~1970年にわかって、セントラル・ドグマ(中心教義)
と言っていた。
流れは一方向だと考えられていた。
そうしたら、1971年ごろに「逆」の現象が起きることがわかった。
ハワード・マーティン・タミン、デビッド・ボルティモア、水谷哲の3人に
よって、「Viによっては、RNAからDNAに変換されることがある」と。
初めは驚かれて議論を呼んだが、正しいことがわかった。
そしてRNA→DNAになるViのことを、レトロViと名付けた。
レトロはラテン語で「逆」という意味。
このレトロViは生物の進化に大きく関わってきたことが、ここ20数年の研究でわかってきた。
レトロViが感染するとき、ViはRNAで情報を持っている。
(レトロVi=RNA Vi)
細胞に感染すると、Viが持っている逆転写酵素によって、
ViのRNAはDNAに変換される。
RNAからDNAになった情報は、Viが複製する過程で細胞のDNAに書き加えられてしまう。
例えば、Viが粘膜の細胞に感染した、或いは免疫の細胞に感染した場
合、そこの粘膜の細胞や免疫の細胞に情報が書き加えられることになる。
VaのRNAはDNAに逆転写されないと製薬会社もCディーCも言ってきたが、そうではなかった。
逆転写が起きることがスウェーデンの研究でわかった。そのことを二つ前
に書いた。
しかもmRNAは数か月間体内にあり、精巣や卵巣に多く溜まることが
わかっている。臓器の大きさから換算すると、肝臓の100倍だと言う。
肝臓は解毒する器官だが、精巣や卵巣にそういう機能は考えにくい。
果たして、Vaを接種して書き加えられた遺伝子情報が、生まれてくる子へと受け継がれて、どうなっていくのか。