米中会談の危険度2021/03/26 19:09


先日の米中会談について、SENのT氏が詳しく説明していた。


「全体的には、いつものように中共が国内向けに吠えてみせた、という見方が多いが、それでは米国民をミスリードする」と言う。


     米中対立の戦略的パターンが基本的に決まったと言える。中共側は
     牙を剝き出したが、米国側はそのことを十分に認識していないの
     ではないか。


今回の会談では、双方が主導的地位を示す為に相手を軽視しようとする手を最大限尽くした。


     米国側は、辺鄙な場所を設定して待遇の低さを示し、会談前に制裁
     をし、自国の強さを強調。

     中共側は、ルール無視の挑発行為で奇襲攻撃。


Yケッチの演説はトップの意志であり、全世界へ向けてのパフォーマンスだった。


     この対話を機に、もう米国主導の国際秩序には従わない、米国が決
     める価値観が国際的な価値観だとは認めないという重大なメッセ―ジ
     を発信することが目的だった。

     従って、今後中共は遠慮せずに、将来の世界秩序の主導権を巡って
     米国と直接競争するだろう。


Sキンペー中共は、自論の戦略「東は立ち上がり、西は下がる」が正しいことを一連の行動で証明していく為に、屈辱的な設定の辺鄙なAラスカくんだりまで出かけて行った。

     Yケッチの演説は、米国への宣戦布告とも言える。演説後、プロパガ
     ンダシステムが全方位に宣伝活動に動き出した。その効率から、明ら
     かにそれは事前に段取りされていた。


     Tシャツからハンドバッグ、傘から携帯電話ケースに至るまでの様々
     な商品に、下記のような言葉が印刷されていて、それらの商品は一夜
     にして大量にネットショップ大手のTオバオに登場した。

        「中国はその手にのらない」
        「米国は上から目線で中国にものを言う資格はない」

     確かに中共がメンツを保つ為にやっているとも言えるが、私にはむし
     ろ米国に挑戦を発動する為の全民総動員のように見える、とT氏。


会談後に別々に行った声明は、米国はBリンケンとSリバンの二人を合わせてもせいぜい400字程度、一方の中共はS華社が3000字余りの長文記事で、Bイデン政権に新たなレッドラインを引いた。

     それは、「中共の統治地位と安全に触れてはならない」としている。

過去のレッドラインは、彼らが言っている主権問題、つまり、香港、台湾、新疆ウィグル、チベット問題。それが事実かどうかは別として、少なくとも「国家主権は不可侵なものである」ということは国際社会でも認められる基本的な基準で、中共が置き換えただけだった。


しかし今度中共がBイデン政権に対して引いた新たなレッドラインは、さらに大きく一歩踏み込んだもので、中共の全体主義体制と統治を批判することは許されない。


     もし誰かが中共は独裁的な専制統治だと言う人がいれば、それは
     中共のレッドラインに触れたことになる。

     言い換えると、国益の擁護から党益の擁護にアップグレードされた。
     その意図はただ一つ、中共と中国は分離されてはならない。


Bイデン政権に次から次へと要求しては一歩一歩迫っている。


それに対する米国側の報道官は「中共の誇張された外交演説は国内向けのメッセージだ」と言うに留まっている。


Yケッチの発言はトップが発言させたものであり、Yは命令通りキレて見せただけ。


     Yのスピーチを意図的に世界へ向けて伝えたかった。ベテランのYは
     自分の発言が全てのメディアに一面で大々的に流されることを良く知
     っていて、それこそがKンペーが望む効果だった。


Kンペーは全世界へ向けて「東は立ち上がり、西は下がる」つまり「米国はもうだめだ。中共こそ世界のリーダーだ」と伝えたいのだ。


これまでは内部でしか言わなかったことを、今回は国際外交の大舞台でYの口を借りて公表した。だからこそ私は、Yは宣戦布告をした、と言っている、とT氏。


中共はすでにナイフを光らせているのに、Bイデン政権はまだ夢の中にいる。


このことを理解する米国人はまだ多くないようだが、Pンペイオ元国務長官は見極められる人物の一人で抜きん出ている。Pエール首席副報道担当が述べた「中共はただ中国本土の聴衆に伝えたいだけだ」という主張に強く反対している。


     PンペイオはFニュースのインタビューで、
       「弱さは戦争を引き起こし敵意を刺激する。
        特に現在の政府が中共に対して軟弱無力であることを、中共
        が知った時」
     と率直に指摘した。

     さらに、
       「自分がもしその場にいたら、間違いなく真っ向から反撃を加え
        るだろう」


     例えば中共側が、BLM暴動が米国の民主の衰退の象徴だと言及し
     た時、
       「自分なら、BLMは世界にいるマルクス主義の信奉者だと言い、
        また中共はパンデミックの責任を取るべき、
        と指摘するが、米側代表がこの点で中共に反撃しなかったこと
        は容認できない」


Pンペイオが指摘しているのは中共のイデオロギーであり、あの長いスピーチの核心はまさにイデオロギーだった。

そのスピーチは:

     「米国自体が国際世論を代表している訳でないし、西側諸国もそうだ。
     人口規模からしても、また世界の動向からしても、西側世界は全世界
     の世論を代表するものではない。

     従って米国が普遍的な価値観や国際世論について語る時にはその
     点を考慮すべき。なぜなら米国は世界を代表していない、米政府のみ
     を代表するものでしかない。

     米国が決めたルールを世界のルールだとは思わない国が地球上に
     は数多くある。世界の大多数の国は米国が決める価値観を認めてお
     らず、米国の見解が国際世論を代表できることも認めていない。そし
     て少数の人が決めたルールが国際秩序の基礎となることを認めてい
     ないと思う」


Bイデン政権は、中共のイデオロギー的脅威の問題や、中共は中国を代表していないなどについてはこれまでに一度も触れていないが、中共側は声高にイデオロギーレベルから、米国の指導的地位や米国の価値観を否定している。

これは奇妙なことだ。

なぜならPンペイオ時代には価値観やイデオロギーは米国が中共を封じ込める為の最も強力な武器だったというのに、Bイデン時代になると状況は一変し、今度は中共が意気揚々と声高にその価値観とイデオロギーで米国を抑圧している。


Bイデン政権は中共の意図を全く理解していないか、理解していないふりをしているのか。


     いずれにしても中共と対抗するBイデン政権の戦略は最も重要なポイ
     ントを回避している。それは一時的に症状を治療するようなもので、
     その根本原因を取り除いていないに等しい。


一緒に最新のニュースを見ていきましょう。この観点から見て行けば、Bイデン政権の外交政策がどんな問題を抱えているかがわかります、とT氏。